「お年寄りが転ばないような靴を作ってくれないか。」と、老人施設の園長から依頼を受けた十河氏。入所者の声によくよく耳を傾けていくと、その多くは、左右同じサイズの靴が履けないことがわかってきました。靴業界の常識では、靴は左右同じサイズで売られているもの。片方だけ販売しては、片方の売れ残りがどんどん増えて事業が成り立ちません。十河氏は「やるしかない。この人たちに応えてあげるしかない」と決心し、片方のみや左右サイズ違い販売、パーツオーダーシステムなど靴業界の非常識に挑戦。これこそがお客様に寄り添って笑顔を届けるモノづくり企業としての出発点となり、大手メーカーの下請けから脱却。介護シューズ業界で55%(数量ベース)のシェアを占め、年商25億円の企業に成長しました。「徳武産業は利益を真っ先に優先せず、困った人を助ける。大切なのは人の心に届くサービス」と語ります。損得ではなく善悪、業績ではなく継続を目指して歩み続ける徳武産業の軌跡。十河氏の実践報告から、「人が生きる経営」の実践が明るい未来を創ることを学びました。