一般社団法人 東京中小企業家同友会渋谷支部
月刊新聞 パルパル 2021年8月号

みなさん、初めまして。篠原特許事務所・弁理士の篠原淳司と申します。

早速ですが、みなさん、特許庁が毎年まとめている特許行政年次報告書というものをご存知でしょうか？ １年間になされた特許出願や商標登録出願の数などの統計をまとめた報告書です。 先日、その2021年版が特許庁により公表されました。同報告書には、中小企業による数字をまとめた部分もあります。中小企業による特許出願の件数は、１年間で39,789件。そして全体における中小企業による特許出願の比率は17.５％だそうです。 件数、比率、いずれも過去最高の数字となっています。 この数字を受けて、報道各紙・ニュースなどには「コロナ禍にもかかわらず、中小企業の特許出願数増加！」といった見出しが溢れました。

私はこのような報道を見て、中小企業による特許出願が増えていることを素直に喜びつつも、報道のみなさまにはちょっとだけお教えして差し上げたい気持ちとなりました。 「コロナ禍にもかかわらず」ではなく、「コロナ禍だからこそ」だと思うのです。

そもそも特許制度が守ろうとしているのは、新しい「発明」です。そして「発明」というのは困難な課題を克服するために、人々が知恵を絞った結果生まれるものです。

現在、社会は新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止し、新しい生活スタイルへ順応していかなくてはならない。と、かつてない困難な課題を突きつけられています。

このような大きな課題を克服するために、私たちは新しい商品を開発し、新しいサービスを生み出し続けなくてはなりません。商品・サービスの中にはたくさんの「発明」が含まれているはずです。

そして、そのような新商品・新サービスで中小企業が生き残っていくには、少しでも市場での優位性を確保するために、特許や商標といった知的財産権を活用して勝負していくほかないのです。資本力で勝る大企業に類似のサービス・商品をリリースされたのでは敵うはずはありませんからね。 そうです。特許制度は本来的に中小企業の味方なのです。

篠原特許事務所
代表弁理士　篠原淳司
https://jspat.jp